「政府開発援助(ODA)事業紹介セミナー」の開催(ご案内)
「政府開発援助(ODA)事業紹介セミナー」の開催(ご案内)
~開発途上国における円借款事業と官民連携の取り組み~
日本経済は2008年のリーマンショック以降、まだ着実な回復基調にあるとはいえず、先進国も諸問題を抱えながら経済運営を進めている状況にあります。他方、新興国および開発途上国ではビジネスチャンスが多く見られるようになり、他の先進国等もこれらの国々に着目した動きを活発化させております。
このようななか、日本政府は新成長戦略の策定、パッケージ型インフラ海外展開などにより、官民を挙げて開発途上国の経済インフラ整備等に取り組んでおります。わが国が戦後実現してきた豊富な開発経験を途上国の開発にも活かし、民間企業ならではの知見と独立行政法人国際協力機構(JICA)等が蓄積してきた開発途上国援助の経験を組み合わせた、ODAの新しい在り方を形成していくことも求められており、JICAと民間企業の両者による情報の交換と共有が従来以上に必要になってきております。
以上の観点から今般、JICAおよび米国国際開発庁(USAID)の主催、本会および名古屋商工会議所の共催で、官民連携をテーマにした「ODA事業紹介セミナー」を下記により開催いたします。
ご多忙の折恐縮ですが、関係部署にご回覧いただき、多数の皆様のご出席を賜りますよう、お願い申し上げます。ご参加の申込みは別添FAX用紙にて2月17日(木)までにお願いいたしますとともに、ご出欠にかかわらず別添アンケートにもご協力を賜わりますれば幸甚に存じます。
日 時:平成23年2月24日(木) 14:00~17:00
場 所:JICA中部国際センター セミナールーム A〔名古屋市中村区平池町四丁目60-7〕
主 催:独立行政法人国際協力機構(JICA)、米国大使館 米国国際開発庁(USAID)
共 催:(社)中部経済連合会、名古屋商工会議所
次 第:
第一部:「JICAの円借款事業(イラク支援などを事例として)」(14:00~15:20)
世界の耳目を集めたイラク復興支援のための円借款事業に中部の企業が参画された事例は、民間企業のビジネス展開が国際貢献にもなりうるものと評価されています。
(1)JICAの支援(中東・欧州部 山田部長)
(2)民間企業の取り組み(豊田通商)
第二部:「JICAとUSAID(米国国際開発庁)の官民連携の取り組み」(15:30~17:00)
JICAでは、民間連携の強化を図るための新たな制度としてPPPインフラ事業調査、BOPビジネス連携促進調査事業を新設しました。また、海外投融資の再開も予定されており、途上国において積極的にビジネス展開を検討されている日本企業との連携を積極的に進めています。また、USAIDも、GDA(Global Development Alliance)という民間連携のためのプログラムを実施しており、同プログラム下で実施した官民連携プロジェクトは、コカコーラと共同で実施した地球規模の水問題解決など、延べ900件に上ります。
(1)USAIDの取り組み(ビード参事官)
(2)JICAの取り組み(民間連携室 村田室長)
<お問い合わせ先>
JICA中部国際センター 小樋山、奥山 Tel (052)533-0220
(社)中部経済連合会 国際部 山中、 鷲野 Tel (052)962-8091
民間企業の政府開発援助(ODA)事業参加について
JICAは、2008年10月に民間ビジネスとODAとのパートナーシップを強化するため「民間連携室」を設立し、途上国におけるビジネス展開を積極的に推進、検討されている企業を主たる対象に、PPPインフラ事業の形成、BOPビジネスとの連携促進、海外投融資事業(現在、再開に向けて制度設計中)等の制度を立ち上げ、民間企業、途上国とのWin-Win-Win関係の構築を目指しています。
また、USAID(米国国際開発庁)など他の二国間援助機関、国際機関もビジネスセクターの途上国の社会経済に対する多大な影響に注目し、関係者が連携することによりMDGsをはじめとする開発目標をより効率的かつ効果的に達成することへの期待を高めております。
過去のODA事業をみると政府が決定した事業に民間企業が実施者として参画するかたちが多かったことに比べ、昨今ではむしろ民間企業の知見を活かして事業を提案し実現するかたちが注目されております。しかしながら、ODA事業に関する情報も限られ、民間企業が参画した事例も十分に共有されているとはいえません。したがって、民間企業がどのようにODA事業に参画しうるかのイメージの共有が課題といえます。
◆民間企業がODA事業に参加することのメリット
国際協力を行う重要パートナーとしてODA事業に参加していただくことは、民間企業にとって次のメリットがあるものと考えます。
(1)途上国におけるビジネス機会の拡大
JICA の協力によるビジネス環境の改善、JICA からの各種情報提供等を通じて、資源の安定確保、貿易促進、企業の海外進出などにも繋がります。
(2)将来の海外事業展開に役立つ現地情報の収集
JICAは50年以上のODAの経験と海外に91ヵ所の拠点をもっています。企業による国際協力活動にJICAが連携することで、現地の状況・ニーズ等の最新情報や官民の人的ネットワーク形成、開発支援の技術・ノウハウ等を得やすくなります。
(3) CSR活動を通じた企業広報
途上国の開発や経済発展に貢献するODA事業に参加することにより、途上国の政府・関係機関・企業等に対して、参加企業の知名度や信頼性が一層高まることが期待できます。
<有償資金協力に参加する利点>
有償資金協力(円借款)事業は経済・社会開発の中心を担う事業であり、本事業に参加することにより当該国の国家開発計画の実現に参画することになります。したがって、当該案件のみならず、将来にわたる国家開発計画の実施に関る情報へのアクセス及び人的ネットワークと情報などを形成することが可能となります。
有償資金協力(円借款)の概要
1.円借款とは
多くの開発途上国では、電力・ガス、運輸、上下水などの経済社会基盤(インフラ)の整備が不十分です。また近年、感染症、大気や水の汚染、気候変動、紛争・テロ、金融危機などの地球的規模の課題が顕在化しており、国際社会がさまざまな取り組みを行っています。
そのようななか、円借款は、開発途上国に対して「低利で長期の緩やかな条件で」開発資金を貸し付けることにより、開発途上国の発展への取り組みを支援しています。
基本的に無償で行う他のODA事業と違い、円借款の特徴は、資金の返済を求めることによって開発途上国に借入資金の効率的な利用と適切な事業監理を促し、「開発途上国のオーナーシップを後押しすること」にあります。また、円借款は、返済を前提とした資金援助であるため「日本の財政負担を小さく、持続性のある支援手段である」ということができます。
円借款の対象地域は、アジアを中心としつつ、中南米やアフリカも含めて、合計103カ国に及んでおります。
円借款の種類としては、プロジェクト型(特定プロジェクトを対象とする借款)と、ノンプロジェクト型(特定プロジェクトを対象とするのではなく、政策支援型の借款)に分かれます。
○ プロジェクト型の案件例(2009年度承諾分): ベトナム・国道1号線バイパス道路整備事業、インド・貨物専用鉄道建設事業、イラク・アル・アッカーズ火力発電所建設事業、など。
○ ノンプロジェクト型の案件例(2009年度承諾分):インドネシア・気候変動対策プログラムローン、 ラオス・財政強化支援借款、フィリピン・開発政策支援プログラム、など。
円借款の事業規模(年間承諾額)は 、近年9千億円前後で推移しています。
2.円借款の役割 (民間企業にとってのメリットという観点から)
日本政府及びJICAは、円借款により「貧困削減」「平和構築」「地球規模の課題への対応」を積極的に進めています。貧困削減や平和構築というと、民間企業の活動とは遠いような印象をもたれるかもしれませんが、そうではありません。貧困削減や平和構築のためには公共サービスの強化や経済社会インフラの整備は不可欠です。多くの民間企業の方々が参加されています。
また、インフラ整備のための円借款は、日本政府の「新成長戦略」にも沿った形で、民間連携の観点からも推進されています。
プロジェクトの実施主体となる開発途上国側からは、円借款事業の実施に際しては資金的な支援のみならず、日本の民間企業に蓄積された優れた技術やプロジェクト・マネジメント能力が求められております。円借款事業に参加することは、それらの能力を発揮し、開発途上国の組織や人材の育成にも貢献することができる機会といえます。これらの経験により、今後海外でプロジェクト展開をするためには欠かせないノウハウの蓄積が為されることになるでしょう。